酒井和彦の森の学校 2021春

デンマーク 薪ストーブと森の幼稚園

デンマークは一番高い山でも200mそこそこで森林率も4割弱ですが、私は昭和57年ころ薪ストーブを日本に導入すべく通っていました。
石の文化の国から木の文化の日本に薪ストーブを導入するには、色んな問題がありました。
私自身がこのホンワカした輻射熱の温もり、耐火ガラス越しの揺れる炎・爆ぜる音を楽しむには時間がかかりました。
囲炉裏とコタツで育った私の感覚は、石炭と温水暖房の北海道の皆さんとは感覚が違うのかもしれません。
薪ストーブは単なる暖房器具でなく背景に文化・生活様式“あずましい”と思う心(デンマーク人の言う“ヒュッゲ″)があると思います。
デンマークは酪農王国とも言いますが100年以上前に植林された家具用ブナ材も結構日本に輸出していました。

写真のデンマーク製薪ストーブは、森ボラに入ってから木工をやっていた杉本家に設置したもので、これを囲んでゴッコ汁をいただきながら酒を飲みました。
台はタイル張りの日本製で私はこのミスマッチが美しいと思いました。
特にナラ薪は、爆ぜる音も香りも最高の森の恵みです。鋳造品の工場は鋼材で有名なスエーデン・ヨーテボリ近くの針葉樹の森(北方林については後日書きます)の中にあり、素材の鉄よりも鋳型の砂を自慢していました。

「森の幼稚園」は北海道にも今や20以上あるそうですが、始まりはデンマークだそうです。
このWEB写真の四阿と子供のリュックサックは、会員の西野さんらが作った澄川の避難小屋かと思うほどです。
皮つき丸太の横木にドリルでたくさん穴をあけて小枝を打ち込んでいます。
森というか自然の中で毎日自由に遊ばせる主義の幼稚園だそうです。
森は子供の感性を磨き生きる力を自ら養う考え方は、森ボラの親子森林教室の指針と同じです。

輸出会社は、オーデンセ市の童話作家アンデルセンの生家近くにありました。
モーク社長は業績を上げて「今年のバイキング」にも選ばれた人ですが、後日遂に離婚してしまいました。
幸福度世界一の国ですが、離婚率5割の国でもあります。
後日日本に来た時泣きながら一時間も説明してくれました。
前の奥さんは、自分の結婚式のときに母親が53種類もの料理を作ってくれたデンマークの伝統・習慣を私に分かりやすい英語で説明してくれた人でした。
日本の懐石料理以上です。
写真(下)は私の老人用パス入れですが、有名なロイヤルコペンハーゲン社製です。
(酒井)

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